洞不全症候群(SSS:Sick Sinus Syndrome)とは、洞結節の自動能や洞房伝導能の障害(洞機能不全)による徐脈が原因 で、失神、眼前暗黒感等の中枢神経症状を呈する疾患です。
目次
P波からの基本的な不整脈診断の流れ
洞結節
洞結節は、上大静脈の前面で右心房との接合部の心外膜直下にあり、約2000~4000個からなる細胞群です。
心臓の歩調取り(自動能が一番早い)をしていて、自発的な刺激を1分間に60~100回出しています。
主な原因
1. 病気の問題
・心筋梗塞
・リウマチ性心炎
・がん など
2. 先天的な問題
3. 器質的な異常
・加齢に伴う細胞変性
・加齢に伴う細胞数減少
4. 自律神経異常
Rubenstein分類
Ⅰ型:洞性徐脈(<50/分)
Ⅱ型:洞房ブロック
洞停止
Ⅲ型:徐脈頻脈症候群
洞性徐脈(Rubenstein分類 Ⅰ群)
Ⅰ型は50bpm以下の持続する徐脈を呈するものです。洞結節の加齢に伴う細胞変性や細胞数の減少などが主な原因となる事が多いです。
ただ、高度の徐脈でPP間隔が一定の時は、単純に洞徐脈を考えるのではなく、2:1の洞房ブロックも考えないといけません。
洞房ブロック(Rubenstein分類 Ⅱ群)
洞結節からの刺激は出ているが洞結節と心房間(結節周囲組織)で伝導が途絶えている状態です。
心房の興奮が無いため、心電図はP波が無くPP間隔が延長します。そして、次の洞結節からの刺激は規則正しく出るので、PP間隔の延長は整数倍(概ね2倍)になることが多いです。
洞停止(Rubenstein分類 Ⅱ群)
洞停止は、洞結節の自動能が一時的にお休みしている状態です。
通常は3秒以上お休みした時に洞停止とする事が多く、停止期間は全く不規則のため、洞房ブロックのようにPP間隔が整数倍になることはほぼ無いです。
徐脈頻脈症候群(Rubenstein分類 Ⅲ型)
心房細動、心房粗動や心房頻拍など心房性の頻脈が停止した後、高頻度駆動抑制(オーバードライブサプレッション)による洞停止として、RR間隔が急激に延長します。
オーバードライブサプレッション
自動能の調律よりも高頻度の電気刺激を数十秒加えた後に突然中断すると、自己心拍の回復が一時的に抑制される現象のことをオバードライブサプレッションといいます。